大判例

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広島高等裁判所 昭和28年(う)454号 判決

本件において暴行傷害を受けた柏原音一が公務員でないことは所論のとおりであるけれども、同人は従来屡々本件山口県水産部漁政課警備船北晴丸に同船船長で漁業監督公務員兼司法警察員として密漁取締に従事していた春藤安一の補助者として乗組み、同人の命を受けてその公務執行の補助をしていたもので本件の場合もそうであつたこと、柏原音一並に春藤安一の証言によつて明らかである。そして原判決挙示の証拠によると、柏原音一が密漁の現行犯として追跡中の第十一恵美須丸を取調べのため停船せしむべく春藤安一の命によつて同人と同船していた北晴丸から第十一恵美須丸に乗り移つた際原判示の暴行を受けたこと、これがため同船を停船させて取調べようとした春藤安一の公務の執行が妨害されたことが認められる。

而して公務員の職務の執行に当りその執行を妨害するに足る暴行を加えた以上、公務執行妨害の罪責を負わねばならぬのであつて、暴行が直接公務執行中の公務員の身体に対するものである場合は勿論、公務員によつてその職務執行の為、使役せられる者に対するものである場合も亦、公務執行中の公務員に対し間接に暴行を加えたものとなすべきであるから、前叙の罪責を問われるものとせねばならぬ。従つて右柏原音一に対する被告人の暴行は同人を密漁取締のため使役した春藤安一に対するものといゝ得べく、かかゝる暴行は公務執行妨害罪を構成すること勿論であつて、柏原音一の前記補助が法令に基くと否とによつてその結論に相違を来たすものではない。論旨は理由がない。

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